コーヒーとお茶 秘訣と根拠 雑味・エグ味除去への挑戦

コーヒーとお茶 グレードアップ秘訣集

ミルクフォーマーでウルトラファインバブルを増やして使う(A)

応用範囲:コーヒー抽出、インスタントコーヒー、茶類全般、インスタントスープ類

沸騰中のお湯300mlの水面で単3乾電池2本で動くミルクフォーマー(泡立て機)を約1分回して激しく空気と混ぜます。すると、水道取り付けタイプの生成器のものと比べて2倍以上の高濃度ウルトラファインバブルができます。このお湯でコーヒーやお茶をいれると風味がとても豊かになります。

ウルトラファインバブルが増えたことは、水をコップに入れてレーザーポインターで光を当てると光の筋が見えるのですぐにわかります。右の写真では、水道水を通過したレーザー光がウルトラファインバブルを増やした水に入ると光っています。蓋をしないでお湯を沸騰させるだけでもウルトラファインバブルは若干増え、また、水道水でも時間帯によっては少し増えているように見えるのですが、沸騰中に空気といっしょにかき混ぜると圧倒的に増やせます。簡単にできるのでぜひお試しください(参考 ウルトラファインバブルとは)。 余計なことかもしれませんが、赤青緑のレーザーポインターで照らすときれいな光のオブジェができそうです。お子さんの自由研究にいかがでしょう。

ちなみに、この水で拭き掃除をすると雑巾の摩擦が強くなって疲れますが、汚れはよく落ちます。(A)

高濃度ウルトラファインバブルでコーヒーの風味を豊かにする(A)

一般にはまだあまり知られていませんが、ウルトラファインバブルを豊富に含む熱湯でコーヒーをいれると、風味やコクが格段に豊かになります。スーパーで売られている挽き豆パックの場合、小豆のような風味が出ます。インスタントコーヒーでは、粉っぽさがなくなってドリップの味に近くなります。コーヒーメーカーに給水するには40℃以下まで冷まします。

高濃度ウルトラファインバブルで茶類を格上げする(A)

前項のコーヒーと同じように、このお湯でお茶をいれると、以下の効果があります。

  • 煎茶・・・苦味が減って褐色になる。
  • ウーロン茶・・・臭みが消えておいしくなる。
  • 紅茶・・・風味が豊かになる。柿茶のような風味が加わる。

高濃度ウルトラファインバブルでスープ類を飲みやすく(A)

お茶やコーヒー以外の飲料では、インスタントみそ汁やカップラーメンのお湯に高濃度ウルトラファインバブルを使うと、とても飲みやすくなります。同じ銘柄の味噌ラーメン(カップ麺)2個に、普通のお湯と高濃度ウルトラファインバブルのお湯を使って、二つ並べて食べ比べてみました。味は同じですが、ウルトラファインバブルを使った方が早く減りました。フリーズドライのインスタントみそ汁でも試してみました。高濃度ウルトラファインバブルのお湯で溶かした方が、飲みやすくて早くなくなります。普通の水を使ったのがどちらかはわかっていたので、先入観の影響が絶対になかったとはいえません。

飲料以外の食品への高濃度ウルトラファインバブル水の効果

お茶やコーヒーがおいしくなることと、みそ汁やカップ麺のスープが飲みやすくなることは体験しているのですが、パンや和洋菓子を作るとき、そばやうどんを打つときに使うと何がおきるのか、とても興味があります。だしが食材に浸透しやすくなるという話を聞いたこともあります。飲食店でのメニュー開発に役立つと幸いです。

秘訣集のウルトラファインバブルのトピックはここまでです。

ミルクフォーマーで苦味を消す(A)

応用範囲:コーヒー、煎茶

ミルクフォーマーでコーヒーのいやな苦味を消す(A)

私の経験によると、ドリップ中にお湯を注ぐのを止めてしばらく放置し、コーヒー液が落ちて豆が空気に触れ、ぬるい状態が持続するにつれて、口に残る不快な苦味ができます。インスタントコーヒーの場合は、熱湯を少しずつ注いで粉と熱湯が混在する時間が長くなるといやな苦味が出ます。この種の苦味を消すには、温度にかかわらずミルクフォーマーで泡立てます。エグ味は消えません。苦味の種類や度合いによっては、続けて泡立てるとすごい量と密度の泡ができます。泡があふれたり飛び散ったりしないように、深い容器を使って液面から上の壁を高くしてください。泡の下のコーヒー液を味見して苦味がなくなったら泡立てをやめるといいでしょう。インスタントのカフェインレスコーヒーが苦い場合も泡立てることにより苦味が和らぎます。ミルクコーヒーになってもよければ、泡にミルクをかけて泡だけをミルクフォーマーで上からたたくように跳ね飛ばすと、泡はほとんど消えます。

ミルクフォーマーで緑茶の苦味を消す(A)

苦いお茶もミルクフォーマーで泡立てると、温度にかかわらず苦味が嘘のように消えてしまいます。当然ですが熱いお茶は冷めてしまいます。茶道でお茶を点てるときは茶筅で泡立てますが、同じ効果があるのではないかと思います。苦味の成分がどのように変化するかはわかっていないので、苦いお茶に何らかの薬効を期待する場合は、念のため苦いまま飲んだ方がいいでしょう。

ミルクフォーマーでワインがまろやかに(?)

試したわけではありません。ワインをまろやかにするために空気に触れさせると聞いたことがあります。それなら、いっそのことミルクフォーマーで強制曝気(泡立て)すれば早いではないかと思ったので書きました。ミルクフォーマーとワインがあれば試してみてください。私はワインを飲まないので、試す機会がありません。

ミルクフォーマーを使う以外の秘訣

応用範囲:コーヒー、煎茶

インスタントコーヒーを買うならスティックタイプのブラック

私の経験では、インスタントコーヒーは、封を開けると日が経つにつれて風味が逃げてエグ味が増えます。スティックタイプは瞬間で使い切れるのでベストです(A)。ブラックのスティックなら、使うミルクやクリーム、砂糖類を自由に決められ、人口甘味料も無添加なのでおすすめです。人数が多ければ、小さい瓶を買って1回で使い切るのがいいでしょう(A)。開封時点ですでに舌苔感(舌の奥や喉に苔が生えたようなざらざらした嫌な感じ)を少し感じます(個人の感想です)。考えられる原因は⇒インスタントコーヒーの抽出方法と製法

冷めたコーヒーを温めるには湯せん(A)

冷めたコーヒーを直火や電子レンジで温めると、せっかくの味と風味がなくなり味が損なわれてしまいます。原因として、鍋の底の91℃(ドリップの湯温の上限)を超えた部分や、電子レンジのマイクロ波で強制的に振動させられている水の分子が、おいしさの成分を壊すためと考えられます。味と風味を損なわないためには、アルミ製の小さい鍋に入れて、91℃以下の湯せんにかけてください。1杯分ならマッコリカップか使用済みアルミ缶が手頃です。温めすぎると失敗します。先の細いデジタル温度計を使うと温度変化の応答がいいので、オーバーヒートを予防できます。私が使っているものでは20℃の温度計の読みが80℃の熱湯の温度にたどり着くまで約4秒しかかかりません。

煎茶はぬるめで浸漬抽出して苦味・エグ味を抑える(A)

ドリップコーヒーと同様に、煎茶も熱湯を直接かけると苦味が出るようです。 安い茶葉ではエグ味も出るようです。私がいつも実行している方法として、熱湯をマグカップ一杯に張って70℃ぐらいまで冷まします。茶こしに煎茶を入れ、マグカップのお湯に1分半漬けたら、持ち上げて切っては漬けることを3、4回繰り返します。ちなみに、ご存知かと思いますが玉露の適温は60℃だそうです。

氷せんでアイスコーヒーに冷やすと苦味が減る(A)

アイスコーヒーの製法は、濃いホットコーヒーを氷にかけて冷やすというのが一般的ですが、私の経験では熱いコーヒーが氷に直接触れると苦味ができます。ホットコーヒーをまろやかなアイスコーヒーにしたい場合は、ホットコーヒーをアルミ製の小さい鍋に入れて、氷の上に乗せて冷やしてみてください。苦味の少ないアイスコーヒーができます。1杯分ならマッコリカップか使用済みアルミ缶が手頃です。溶けた氷で味が薄まることもありません。氷漬けにしたらせん状のアルミパイプの中にホットコーヒーを流してアイスコーヒーを作る道具を商品化するため、クラウドファンディングを展開しているメーカーを見たことがあり、同じことに気がついた人がいたのだと安心しました。

濃縮コーヒーを水で薄めると飲んだ後で軽い吐き気が来る

濃縮コーヒーを水で薄めて飲むと、あとから軽い吐き気が来ます。熱湯で薄めましょう。濃縮コーヒー水で薄めてしまった場合、吐き気の原因を取り除くには、ごめんなさい、ノウハウの公開までお待ちください。⇒「エグ味は少なくとも半減できるーー近未来編、エグ味や苦味を半減させる装置の原型機(X)

コーヒーのエグ味(雑味)解消への挑戦

エグ味の自主定義…時間差で来る4つの不快感

私の経験上、あまり高級ではないコーヒーを飲んだ後では、必ずといっていいほど以下のような不快感があります。

  • 舌の奥や喉に苔が生えたようなざらざらした嫌な感じ(舌苔感)
  • 軽い吐き気
  • なんとなく胃が痛い
  • おなかがゴロゴロする

このサイトではこれらをコーヒーのエグ味と定義することにします。一般に、これらの不快感は雑味の一種ととらえられています。このようなコーヒーは飲むとすぐに舌苔感が来て、吐き気を感じるまでに15分ぐらい、胃が痛く感じたりお腹がゴロゴロするまでに1時間ぐらいかかり、これら4つのどれか1つが現れることもあれば2つか3つのことも、場合によっては4つすべてが時間差で合流することもあります。飲み終わってしばらくたってからエグ味を感じる場合はコーヒーが原因とは気が付かない人も多いと思います。2020年に、私がQiQUMOを利用して実施した200人対象の国内アンケート調査では、およそ5人に1人はこのようなエグ味が気になっています。残りの4人は気が付いていないか、胃の内容物で中和されて消えたかのどちらかだと思います。コーヒーのエグ味の原因については ⇒ エグ味の原因は収穫から飲むまでの5段階に潜む複合型

高価なコーヒー豆を買ってすぐ使えばエグ味はない(A)

私の経験から、エグ味を出さずにコーヒーをいれる一般的で確実な方法としては、焙煎から日が浅く、目安として100g 500円以上の高級な豆を買い、2、3日で使い切れば期待を裏切られることはまずありません。厳しいことをいうと、焙煎から3日目ぐらいがベストだそうです。そのような豆を使ったレギュラーコーヒーは1杯400円ぐらいからと考えられ、お店では豆に対して厳しい品質管理をしているはずです。良質の豆を買ってすぐ使えば、仮に抽出技術が未熟で味や風味を充分に引き出せないことはあったとしても、エグ味が抽出されることはないと考えられます。

ポッカコーヒーは最もエグ味が軽い缶コーヒー(C)

1996年4月から脱酸素製法で製造されているポッカ―コーヒー(2015年7月3日 愛知県産業振興局のサイト)は、当時の私の感想として、缶コーヒーであるにもかかわらず口に入れてもエグ味がなく、飲んでしばらく空腹であれば舌苔感は来るものの、飲みやすく、エグ味の軽い香料無添加の優れた缶コーヒーでした。その当時は食事と同時に飲んでいたので、エグ味の無いコーヒーという印象がありました。1998年10月にエグ味を出さない抽出方法を偶然発見するまでは、私にとって手頃で模範的なコーヒーで、今思えば発見とその後の再現性確保への動機の一つとなっていました。今では取り扱っている小売店や自販機が少なくなってしまったのが残念です。お客様相談室にどこで買えるか問い合わせたら、1か月以内に納入実績のある市内のスーパーと薬店を4か所教えてくれたので、最寄りのお店に行って、25年振りに買って飲んでみました。味は変わっていませんでした。舌苔感に敏感になってしまったので、今の私にとっては十分な効果があるという自信はありませんが、空腹でなければ、今でもまろやかで飲みやすい缶コーヒーです。

コーヒー豆のエグ味を少しだけ減らして抽出する従来法 4選(C)

私がいつも利用している100g100円相当の挽き豆パックは、よほど幸運に恵まれて焙煎から日が浅いものに当たらない限り、開封した時点ですでにある程度のエグ味があり、開封後は特に、日が経つにつれてエグ味が増えていきます。そのようなエグ味を出さずに抽出する確実な方法と、飲む前にエグ味を半減させる確実な方法があり、ノウハウの公開を準備中です。(⇒ エグ味をほとんど除いてコーヒーをいれる方法(X)、⇒ 飲む直前のコーヒー類のエグ味を半減させる(X)) 公開できるまでのあいだ、一般に知られている、少しでもエグ味を減らせる抽出方法を以下に紹介しますので、これでお許しください。これらは、エグ味の抽出に対するささやかな抵抗であり、抜本的な解決方法ではないことをご了承ください。

微粉を取り除く(C)

一般的に知られているエグ味を少しでも減らす一つの方法として、挽いたコーヒー豆をふるいにかけて微粉を取り除くというものがあり、そのための器具として「パウダーコントロールストッカー」が市販されています。エグ味が少しやわらぎます。少し手間がかかる代替えの道具としては、球形の茶こしに豆を入れて、茶こしをビニール袋に入れ、球形の茶こしを指先で持って100回ほど振ると、網の開口サイズが0.5mm四方の場合、体積にして2~3割の細かい粉が茶こしの外に出ます。中に残った豆を使います。外へ出た細かい粉に微粉が含まれ、微粉から多くのエグ味が出るといわれています。茶こしから出た細かい粉は、今のところ捨てるしかなさそうです。「エグ味をほとんど除いてコーヒーをいれる方法(X)が使えるようになると、捨てないですむのですが、特別な抽出器をつくる必要があります。ノウハウの公開を準備中です。

お湯の温度をギリギリまで下げる(C)

一般に、コーヒー抽出に使う熱湯は83℃ぐらいから91℃の範囲内で、高ければ苦いコーヒーが、低ければ甘いコーヒーが抽出されるといわれています。低すぎるともはやコーヒーとはいえないうす味になってしまうので、コーヒーらしさを失わない範囲で湯温を83℃かそれより下げてエグ味を最大限に減らすということになります。インスタントコーヒーに対しても同じ効果があります。先の細い調理用デジタル温度計を使うと、温度計の表示がすぐ変わるので熱湯の温度を正確に測れます。

ドリップ開始には落差をつけず、豆にお湯を置くようにかける(C)

ハンドドリップでお湯をかけはじめるときに、できるだけ落差をなくして豆にお湯を置くようにかけると、エグ味を減らせるということが書かれたサイトを見たことがあります。少しでも浸漬抽出に近い方法といえます。

浸漬抽出する(C)

お湯を豆にかけるのではなく、抽出中のコーヒー液に補充するようにお湯を注ぐことができれば、豆が熱湯で洗われることがないのでエグ味は少し緩和されます。しかし、このことがおいしいドリップの手順を妨げるようであれば風味や味が弱くなるかもしれません。しずく防止コックがついている電動コーヒーメーカーで抽出中にコーヒーサーバーをはずすと抽出液がたまり、これも広い意味で浸漬抽出になります。しかし、このやり方が設計上の抽出条件からはずれていると風味や味が犠牲になるかもしれません。抽出中の量がフィルターの容積を超える場合は、あふれる前にコーヒーサーバーをコーヒーメーカーへ戻してろ過を再開する必要があります。本来の使い方ではないので、もし壊れたらメーカー保証の対象外になる覚悟が必要です。サイフォンなら、お湯がフィルターの外から内へじわじわと入るので、確実な浸漬抽出ができます。

丼、お椀、立てろ紙、茶漉しで浸漬抽出(簡易サイフォン)

浸漬抽出用であるコーヒーサイフォンは、ハンドドリップに比べて人の手加減が味に影響する要因が少ないため、仕上がりの品質が安定しているといわれています。また、コーヒー豆が熱湯で直接洗われることがないので、豆にエグ味があっても抽出されにくい傾向があるそうです。ドリップと同様、極細挽きや超極細挽きの豆には適さないといわれています。食器と茶漉しを使ってサイフォンと同じような工程を実現できたので、紹介します。ろ過するときに抽出が終わったコーヒー液をフィルターごと手で持ち上げるところが、本物のサイフォンと異なります。本物のサイフォンでは、火を止めるとフラスコ内の水蒸気が水滴へと凝集するため抽出が済んだコーヒー液は自動的に下のフラスコへと吸い出され、パフォーマンスとしての演出効果があり、使わないときはインテリアとしての価値があります。この簡易サイフォンは食器の流用であり、使わないときは食器棚へ紛れて消えてしまいますが、湯温を自由に調整できるメリットがあります。ちなみに、自慢にはなりませんが私はまだ本物のコーヒーサイフォンを使ったことがありません。この簡易サイフォンと本物のサイフォンとの性能や使い勝手の違いが実は気になっています。この簡易サイフォンには「エグ味をほとんど除いてコーヒーをいれる方法(X)」が使えるので、ノウハウを公開できたときには役に立ちます。抽出しはじめに特別な手順を追加するため、本物のサイフォンには使えそうにありません。

準備するもの

・お椀

・そのお椀がちょうど入る小さめの丼(メラミン樹脂製なら軽くて熱容量が小さいのでおすすめ)

・小さめの丼の内側よりちょっと大きめの立てろ紙(中型以上のコーヒーメーカー用の紙フィルター)

・小さめの丼1杯分のコーヒーに必要な豆が入る茶漉し

これら4つのサイズが合うように選びます。

・先の細い調理用デジタル温度計(先が細い方が温度計の応答が速い)

抽出手順

サイフォンと同じ手順でありながら、お湯の温度を調節できます。

  1. 立てろ紙を丼に入れてお椀で押し付けてろ紙の形を丼に合わせ、ろ紙が丼の上から大きくはみ出る場合は切り取る。3.でお湯を張ったときお湯がろ紙を伝って外へこぼれないために。
  2. 中細挽き~中挽きのコーヒー豆を茶漉しに入れる。
  3. 丼に入れた立てろ紙の内側にお湯を張る。温度を測って85~90℃に調整。
  4. コーヒー豆を茶こしごとお湯に漬ける。このとき茶こしの中の豆が全部つかるように茶こしを丼の縁へ移動させ、丼を茶こし側へ傾ける。こぼれそうな場合は、大きなお皿の上で。
  5. 20~30秒間そのまま。ここが味の決め手。
  6. 丼を水平に戻し、茶漉しを沈めてコーヒー豆を茶漉しからリリースする。
  7. 浮いた豆をスプーンまたはサイフォン用のヘラで沈め、ゆっくり1、2周混ぜて散らす。
  8. 約1分間、そのまま置く。豆が浮いてきてもOK。
  9. もう一度、軽く1、2周混ぜる。
  10. 立てろ紙の上端を何か所かつまんで一つにまとめて持つ。
  11. 立てろ紙を少しずつ持ち上げながらろ過する。
  12. ろ過が終わったコーヒー液を丼からカップに移す。

現れたエグ味の症状を消す方法

何回も試す機会があったわけではないのですが、食事をするとエグ味の不快感が消えてしまった経験があります。エグ味のないコーヒーを飲んでも消えました。エグ味の原因成分が胃から腸へ進むか、何かに中和されたら不快感が消えると考えられます。不快感のタイプが胃痛の場合、原因成分が腸へ進むと今度はお腹がゴロゴロすると考えられます。中和できるものを何かおなかに入れた方がいいと思います。

エグ味ができた挽き豆を煎り直して復元する(B)

コーヒー1杯分の復元に成功しました。温度を正確に管理するために、熱容量の小さな耐熱容器(例:テフロンコートのアルミ製)とオーブントースター、オーブンメーター(耐熱温度計)で温度を測りながら煎り直します。風味は落ちますが、エグ味は消えてとても飲みやすくなります。試す場合は、高温の容器を扱うので、火傷や家具、化学繊維、樹脂製品などへの接触事故には十分ご注意ください。手間がかかり、200℃以上まで加熱が必要で、風味がほとんどなくなるためあまり実用的とはいえないかもしれません。情報源は2008年公開の特許第6381055号です。(詳細は ⇒ クロロゲン酸ラクトン類がエグ味キラー成分か

準備するもの

  • オーブントースター
  • オーブンメーター(耐熱温度計)
  • 容器:ケーキ型またはオーブン用の容器(熱伝導のよいアルミ製)
  • エグくなった挽き豆
  • 利き手用の軍手2枚重ねまたはオーブンミトン

手順(例)

  1. オーブンメーターをオーブントースターの手前の方に、空のケーキ型を中央に置き、加熱します。私のオーブントースターでは、150℃ぐらいになると、ヒーターが消えたりついたりを繰り返しながら220ぐらいまで上がります。
  2. 目安として220℃になったら軍手をはめてドアを開け、素早く挽き豆をケーキ型に入れ、平らにならし、すぐにケーキ型を戻してドアを閉めます。
  3. 30秒おきぐらいに、ドアを開けてケーキ型の中の挽き豆を混ぜて、加熱ムラを防ぎます。これを2,3分続けます。
  4. ヒーターを切り、ケーキ型を出して豆を冷まします。

風味が飛んでいるので、好みに応じて微量のバニラエッセンスやココア、シナモンなどで風味を補うこともできなくはないと思います。

温度と加熱時間の成功事例は220℃で2~3分ですが、条件を最適化できたわけではありません。天ぷらやフライの油の温度(150~180℃)でも加熱時間を延ばせばできそうな気がします。天ぷらを揚げるときに衣が白からきつね色に変わったのがおいしいのと似たような原理だと思われます。挽く前の豆を煎り直す場合はもう少し時間がかかるのではないかと思いますが、試す機会はありません。

エグ味ができたインスタントコーヒー(粉)を焼いて復元する(B)

オーブントースターでインスタントコーヒー1杯分の復元に成功しました。これより多い量を扱うには、もっと大掛かりな設備が必要ではないかと思います。情報源は、前の記事「エグ味ができた挽き豆を煎り直して復元する」と同じです。砂糖を焼いて溶かして、冷やして固める要領です。200℃以上の高温の容器を扱うので、家具や化学繊維、樹脂製品などへの接触事故、火傷には十分ご注意ください。試す場合は、事故が起きない自信がつくまでイメージトレーニングやリハーサルをすることをお勧めします。化学的な根拠は、「クロロゲン酸ラクトン類がエグ味キラー成分か」で考察しています。やってみる価値があるか、新しいものを買った方がいいかの判断はあなたにおまかせします。

準備するもの

  • オーブントースター
  • オーブンメーター(耐熱温度計)
  • 容器:小型のケーキ型(要耐熱)やアルミホイル製容器など
  • エグくなったインスタントコーヒーの粉(1杯分)
  • 利き手用の軍手2枚重ね、またはオーブンミトン
  • 容器が収まる大きさのお皿

手順

  1. オーブンメーターをオーブントースターの手前の方に入れ、ドアを閉じて加熱し始めます。インスタントコーヒーは焦げやすいので、容器には予熱をかけません。
  2. インスタントコーヒーを容器に入れて平にならします。
  3. 目安として220℃ぐらいになったら、軍手をはめてドアを開け、素早く容器をオーブントースターに入れてドアを閉めます。
  4. 容器が置ける大きさの皿に1cmほどの深さの水を張っておきます。
  5. インスタントコーヒーの粉がすべて熱で溶けたら、または、粒が水滴のように溶けたら、すぐにヒーターを切って容器を取り出します。粒が結晶のまま残った部分にはエグ味が残るようです。また、煙が出るほど炭のように味がなくなります。
  6. すぐに水を張ったお皿に容器を置き、溶融したインスタントコーヒーを冷まして固めます。
  7. 容器にお湯を注いでコーヒーをいれます。固まったインスタントコーヒーを砕くと飛び散ってしまうので、砕かずお湯を注いで溶かします。よく溶けます。保存すると湿気を吸ってまたエグ味が出てしまいます。

風味が飛んでいるので、好みに応じて微量のバニラエッセンスやココア、シナモンなどで風味を補ってもよいでしょう。

成功事例の温度は210℃ですが、何度で何秒間加熱するのが一番いいのかについてはわかっていません。低い温度で時間をかけた方が風味を残せるかもしれません。これも、やってみる価値があるか、新しいものを買った方がいいかの判断はあなたにおまかせします。

味がよくなる根拠–理論編

水の硬度とコーヒーの味

2010年頃、軟水が飲みたくてゼオライトを使って水道水の硬度を下げる実験をしていました。結果として、ゼオライトで水道水の硬度を下げようとすると、一時硬度(炭酸水素カルシウムを含むカルシウムイオン濃度に相当)が下がってからでないと永久硬度(炭酸カルシウムのみのカルシウムイオン濃度に相当)が下がらないことがわかり、時間がかかりすぎてイオン交換樹脂を使った市販の浄水器には到底勝てないのでやめました。硬度1000ppm(カルシウムイオンのmg/l)ぐらいのミネラルウォーターでは、エグいコーヒー豆のはずがエグ味を感じませんでした。同時に味も薄くなりました。逆に、20ppmぐらいの超軟水を使うと、豆と抽出方法が優れていればコーヒーがとてもリッチになりました。日本では一般に、硬度100ppmより低ければ軟水、高ければ硬水と呼ばれます。埼玉県では、水源が深井戸(地下100m以上の深さ)の場合では硬水、河川水では軟水でした。河川水の硬度について市役所に問い合わせたところ、河川水でも時期によって硬度は変動するとのことでした。上流に石灰岩が多い水系の河川水は、雨が多く降ったあとは雨水が増えて一時的に硬度が下がるのではないかと考えています。やや硬水の例として、日本海軍基地発祥の地、横須賀の南の海岸に走水(はしりみず)という湧き水の水源があり、明治時代の軍艦の飲料水としても採用され、赤道を過ぎても腐らないと好評だったそうです(湧き水の案内板にそのように書かれていたと記憶しています)。硬度を測った記憶によると100ppmをちょっと過ぎたぐらいでした。一般に、100ppm前後での硬度の違いは、コーヒーの苦味と酸味のバランスに影響するといわれています。

突然訪れた偶然の発見・・・高濃度のウルトラファインバブルができていた

2014年秋、その大発見は突然起きました。

日頃から苦くないお茶が好きで、今でも自分で緑茶(煎茶)をいれるときは以下の2つの条件を守るようにしています。ただし、出されたお茶は、素直にそのままいただきます。

  • お湯は70~80℃まで冷ます。
  • お湯を直接茶葉にかけるのではなく、張ったお湯に茶漉しごと1分半漬け、持ち上げて切ってはまた漬けることを数回繰り返す。切るときは、持ち上げたまま柄を回転軸にして90度回して茶漉しを傾けてしずくを切り、90度傾けたまま柄を水平から垂直へ上げてさらにしずくを切る。

お金をかけずに味にこだわった結果、こうなってしまいました。このような面倒な手順をなんとか簡単にしようとする無意識の力が日頃から働いていたことは否めません。 同じ頃、小型のエスプレッソマシンを自由に使える場所にたまたま出入りしていました。そこのエスプレッソマシンには、ビーム状の熱湯でミルクを泡立てるノズル(スチームノズル)が付いていました。ビーム状の熱湯が空気中を飛べば温度は下がるはずなので、コップに受けたら80℃未満になっているはずです。お茶をいれるときは、苦味が出ないように必ず冷ましたお湯に茶葉を漬けていたので、使ってくれと言わんばかりのこのコップのお湯に煎茶のティーバッグを漬けたところ、驚いたことにいつもは黄緑色のはずのお茶が褐色になり、苦味が消えました。何度やっても同じです(大勢でこんなエスプレッソマシンの使い方をすると問題になるかもしれません)。色が変わるのは気にしませんが、苦味が消えるのはすごい。もしかして、ずぼら転じて世紀の大発見か? 意外と簡単にできたので、私より先に誰かが見つけていても不思議はありません。

何がお茶の苦味を消した?

実は、30代前半の私はアメリカ東海岸にいて、スズキやヒラメを1トンほど人口海水で飼っていたことがあります。魚たちの健康管理が主な仕事で、特に溶存酸素(水に溶け込んで魚が呼吸できる酸素分子)の濃度には気を使い、空気中の酸素を水に溶かす方法に興味がありました(当時読んでいた専門書Stephen Spotte著 Fish and Invertebrate Cultureの第5章)。その経験から、ビーム状の熱湯をコップに打ち込んだときに溶存酸素が増えたのかと最初は思いましたが、熱湯に酸素はほとんど溶けないことを思い出して溶存酸素が原因ではないと判断しました。熱湯ビームをコップに受けたお湯で煎茶をいれると苦味が消える効果を見つけたのと同じ頃、ビールに二酸化炭素のウルトラファインバブルを加えると味が良くなり、コーヒー用の機械の発売も予定しているというニュースがネット上に出ていたので(今は見当たりません)、もしかしてこれかと思い、電池で動くミルクフォーマーを買って家の台所でお湯を沸騰させて水面を空気とかき混ぜて曝気してみました。ウルトラファインバブルはレーザー光を当てると光の筋として見えるという情報もネット上で見たので、レーザーポインターを買って試したところ、案の定、ビームが明るく見えたため正体はウルトラファインバブルということになりました。

ウルトラファインバブルとは

日刊工業新聞社「ファインバブル入門」17ページ他によると、直径1マイクロメートル(百万分の1メートル)より小さい泡をウルトラファインバブル、それより大きく100マイクロメートルまでの大きさの泡をマイクロバブルといいます。マイクロバブルを含む水は白く濁って見えますが、ウルトラファインバブルを含む水は透明なので見た目はわかりません。

レーザー光でなぜ見える?

ほとんどのウルトラファインバブルの直径が可視光線の波長より小さいため見えない水中のウルトラファインバブルが、可視光線の波長であるレーザーポインターの光を当てるとなぜ見えるようになるのか、納得のいく説明はネット上で見あたりませんでした。レーザーのコヒーレンス(レーザー光を輪切りにすると、切り口のどこをとっても電磁波の位相が同じ、たとえば海岸に打ち寄せる波のように、波の進行方向に垂直な面では波の動きが同じという性質)に対して、ウルトラファインバブルの場所とサイズが不規則なため、ウルトラファインバブルの集団が大きな物体のように作用して、レーザー光の波長より大きなまだら模様によってレーザー光が散乱されるのではないかと想像しています。こんな説明ですが書いている本人もあまりよくわかっていないので、読んでいるあなたはもっとわからないのではないかと思います。

濃度は1ml中に2億個以上

手前味噌ですが、特許第6978805号で、濃度測定に使ったウルトラファインバブル水の生成方法を説明しています。(特許の内容を見るには ⇒ 引用している特許を閲覧する方法) 沸騰させた熱湯1リットルの水面を単三乾電池2本で回るカフェラテ用ミルクフォーマーで3分間空気とかき混ぜて、かき混ぜ終了温度80℃という条件でウルトラファインバブル水を作り、その濃度がどれくらいあるか測定に出しました。生成から2日後(試験報告書による)に測定してもらったら1ml中2億個を超えていました。測定方法として気泡とそれ以外の不純物との区別はできないとのことでしたが、浄水器のフィルターを通過した水を使ったので、不純物までカウントされたとは考えにくいです。水道に取り付ける普及型生成器と比べると約2倍の高濃度です。この作り方の弱点として、沸騰させて空気と混ぜなければならないので、一度にできる量には限りがあります。

飲料への効果

水道取り付けタイプのウルトラファインバブルの洗浄力が高いことはテレビCMなどで知られているとおりですが、その2倍の濃度のウルトラファインバブルを含むお湯を作って飲料への効果を試すという変わったことをした人は他にはあまりいないだろうと思います。自分で確認した効果を改めて挙げると以下のとおりです。

  • 緑茶:苦味が減る。色が緑から褐色に変わる。(A)
  • 紅茶:風味が良くなる。柿茶のような風味が加わる。(A)
  • ウーロン茶:独特の発酵臭が消えて味もよくなり、飲みやすくなる。(A)
  • レギュラーコーヒー:フレーバーが豊かになる。市販の挽済みパックでは小豆のような風味が出る。(A)
  • インスタントコーヒー:粉っぽさがなくなり、ドリップのような味わいに近くなる。(A)
  • スープ類:飲みやすくなる。(A)

生成されたウルトラファインバブルは数週間持続するといわれており、常温まで冷まして電動コーヒーメーカーに給水できます。ある内科医によると、空気のウルトラファインバブル水は、空気なので人体に無害だそうです。ふたをせず10分ほど沸騰させた白湯(さゆ)にレーザー光を当ててみたところ水道水より少し明るく見えたので、ウルトラファインバブルは増えていました。低濃度のウルトラファインバブルは古くから少しは飲まれていたことになります。水道水にもわずかに含まれていて時間帯によって増減しているように見えます。自分で調べた限りでは空気のウルトラファインバブル水が有害というような情報は見当たりませんでしたが、すべての用途に対してよい効果があることは保証できません。例えば、漢方の煎じ薬の苦味が少なくなると、効能も弱くなるリスクが考えられます。同様に、お茶の苦味が減るということは、カテキンの分子が小さくなって小腸での脂肪吸収抑制作用が弱まっているのではないかと懸念しています。茶類に何らかの薬効を期待する場合も、このあたりの実態が解明されるまではウルトラファインバブルは使わないほうがいいでしょう。

家電として市販されているウルトラファインバブル生成機はまだない

残念ながら、私の知る限り、家電製品や厨房用機器としてのウルトラファインバブル生成機は2023年夏の時点でまだありません。熱湯ビーム方式のミルクフォーマー(スチームノズル)が付いているエスプレッソマシンがあれば、ミルクを泡立てる代わりに給湯するぐらいの使用頻度で、かつ、出てくる熱湯ビームが80℃以上だったらできそうです。ただし、ウルトラファインバブルの生成に使って万一壊れた場合は、今のところメーカーが定めた使い方ではないため、保証期間内でもその使い方では保証(無償修理)は無効ですといわれても文句はいえません。私も責任は持てないのでウルトラファインバブルだけのために購入することはおすすめしません。

ウルトラファインバブルはなぜできる?

沸点に近い水を空気と激しく混ぜると、ウルトラファインバブルができるという仮説を立てています。常温の水道水を通すウルトラファインバブル生成器では、内部で起きる乱流や振動によって局所的、瞬間的に気圧が常温の沸点近くまで下がるためウルトラファインバブルができると考えています。この仮説が正しければ、水と空気を激しく混ぜるときに常温の沸点まで気圧を下げるか、常圧(1気圧)の沸点(100℃)まで温度を上げるか、またはその中間へ減圧してぬるい温度で沸騰させ、空気と激しく混ぜるとウルトラファインバブルができるということになります。エスプレッソマシンのスチームノズルから出る熱湯ビームには、コップに打ち込まれる時だけではなく空中を高速で飛んでいるときにも空気との界面でウルトラファインバブルができるのではないかと思われますが、未確認です。 理論編の飲料用ウルトラファインバブルの話題はこれだけですが、他のページで述べているコーヒーやお茶をいれるのにもウルトラファインバブル水を使わない手はありません。

空気以外のウルトラファインバブル水

ガスボンベの取り扱いがたいへんそうなので試していませんが、空気以外のウルトラファインバブルを作るため、鍋の底に釣鐘状の空間を作ってそこへ気体を送り込んでかき混ぜるという方法を思いつきました(特許第7023029号)。お風呂の中で洗面器を逆さに沈めて底に水面をつくって気体とかき混ぜる感じです。以下の効果は確認したわけではなく、噂の域を出ません。

・窒素

不活性の気体である窒素で酸素を排除して、マグロやリンゴ、レタス等の食品の切り口の変色を遅らせる効果があるのではないかという淡い期待をしています。

・二酸化炭素

野菜に噴霧すると鮮度を保つ可能性を想像しています。ガス冷蔵庫では、ガスを燃焼してできる二酸化炭素を野菜室に送って鮮度を保つ機能がすでにあります。

・酸素

たとえば、金魚を買って帰る水に利用すると、酸欠になるのを遅らせるのではないかと期待しています。

・水素

溶存水素が持続するため医療用としてすでに実用化されているようです。病気の原因となる活性酸素の逆の効果です。

ロブスタはエグくてアラビカは高級というのは誤解

ネット上の多くの情報によると、コーヒーノキには、大別してロブスタ(Robusta)種とアラビカ(Arabica)種があります。ロブスタ種は低地で栽培でき直射日光や病気、害虫に強く(スペイン語robustaは英語でrobust=強靭な)、栽培が簡単、アラビカ種ほど風味が豊かでないため、アラビカ種にブレンドして増量したり、インスタントコーヒーや缶コーヒーに利用したりすることが主な用途となっています。私の推測ですが、このような二級品としての扱いが主な用途のため品質管理が緩く、結果的にエグ味のあるものが多いようです。ロブスタ種でもアラビカ種と同じような品質管理がされたインドネシア産のブランドものはエグ味が全くなく、ロブスタ臭(ハト麦臭に近いそうです)もなく、アラビカ種とは違った上品で控えめな風味がありました。アラビカ種の高級な豆でも、焙煎後に時間が経つとしだいにエグ味が強くなり、風味も飛んでしまいます。「ロブスタ種」は通称で、正式名称はカネフォラ種だそうです。

エグ味の原因は収穫から飲むまでの5段階に潜む複合型

●焙煎前

数年前、来日中のケニア人で、コーヒーの品質コンサルタントらしい人と直接話す機会があました。日頃から気になっていたのでまたとない機会と思い、コーヒーのエグ味(astringency)の原因は何ですかと尋ねたところ、未熟豆を取り除かずに焙煎するからだと即答が来ました。

●焙煎中

道頓堀のある焙煎家から豆を購入した縁で、同じことをメールで尋ねたら、焙煎初期に水分の飛ばし方が不十分だと吐き気が起きやすいと教えてくれました。

●焙煎後の豆

一般に、焙煎直後から3日ほどたったときが最もおいしく、その後日がたつにつれて徐々に味が損なわれるといわれており、焙煎後にも湿気を吸収して水分と反応し、エグ味が徐々に増えると私は考えています。私の経験では、煎りたてを買ってから1週間で見事にエグくなりました。

●抽出中

豆の中にエグ味の成分ができてしまったら、通常の抽出方法でエグ味もついでに抽出されるのは普通に考えて無理もないことです。

●抽出後

抽出後のコーヒーは水溶液なので、成分は水と反応し放題。エグ味が増えるのは自然です。冷蔵庫に半日入れておいてもエグ味が増えたように感じました。温度が10℃上がると化学反応の速度は約2倍になることが知られており、抽出後に熱いコーヒーとして保温すると数十分でえぐくなるということになります。カップ入りのチルドコーヒーは低温で保存されているので、エグ味の増え方はゆっくりになっているといえます。

インスタントコーヒーのエグ味

インスタントのカフェインレスコーヒーには苦味はあってもエグ味は感じませんが、普通のインスタントコーヒーでは、開封時点ですでにある程度の舌苔感を感じます。これは、次の記事で説明するように、インスタントコーヒーの抽出方法には高温高圧の追い抽出もあり、レギュラーコーヒーにはない成分が含まれているためと考えています。「エグ味をほとんど除いてコーヒーをいれる方法や、飲む直前のコーヒー類のエグ味を半減させる」を使うと、インスタントコーヒーでもほぼ完全にエグ味を消すことができるのですが、ほんとうにごめんなさい、特許出願前なのでまだ方法を公開できません。

インスタントコーヒーの抽出方法と製法

10年ほど前に、東京大学コーヒーサロンという集まりのセミナーに一般参加する機会があり、インスタントコーヒーの抽出工程についてレクチャーを受けたことがあります。

記憶によると、主にロブスタ種の豆を、レギュラーコーヒーを抽出するのと同じ条件で抽出したあとに、圧力鍋のような機能がある抽出槽(カラムというそうです)で圧力と温度を段階的に何回か上げて、コーヒー豆の成分を加水分解しながら追い抽出し、それぞれの抽出液を混合し、最後に香料を加えてコーヒーの豊かな風味を添えることができるということでした。このようにしてつくられたコーヒー液は缶コーヒーやペットボトル入りのコーヒーにもなるそうです。

コーヒー液は、スプレードライ製法かフリーズドライ製法で軽量の粉へと加工されます。フリーズドライ製法はシカゴ留学中の加藤サトリ氏が1899年に凍結・真空乾燥に成功、スプレードライ製法はネスレ社が1938年に商品化したそうです。スプレードライの方がフリーズドライより色が濃いのは、噴霧したコーヒー液が200℃の熱風で脱水される(焦げる)ためと考えられます。

インスタントコーヒーは高温高圧で追い抽出するためか、開封時点ですでに舌苔感が少しあるように私は感じます。ベトナム製インスタントコーヒーには舌苔感がほとんどなかったので、常圧で1回だけ抽出しているのではないかと思います。(2015年頃)。 インスタントコーヒーの輸出国ランキングはドイツが一位、ブラジルが二位という情報をネット上でよく見かけます。日本のインスタントコーヒーの輸入先はブラジルが一位、ベトナムが二位とのことです。2014年頃のネット上の情報では、世界最大のインスタントコーヒーの輸入国はフィリピンでした。粉っぽさが消える高濃度ウルトラファインバブル水の普及を期待しています。

コーヒーの味を評価する方法

一般的な方法として、十数人から数十人の被験者に比較サンプルを味わってもらってアンケート調査の形でデータを収集し、統計学的な手法で測定する官能試験と呼ばれるものがあります。エグ味(舌苔感、吐き気、胃痛)の強弱を評価する場合は人体実験の要素が加わるため、ヘルシンキ条約を批准している日本では起こる症状をパネリストに事前に知らせてから回答を依頼する必要があるそうで、先入観がエグ味の評価結果になんらかの影響を与える可能性もあります。コーヒーのエグ味を評価したなどという話は、ずいぶん探しましたがどこにも見当たりませんでした。

近年、味覚センサーが日本の企業 ㈱インテリジェント センサー テクノロジーで開発され、全国の産業技術試験場や食品メーカー、研究機関の何か所かで導入されています。エグ味の強弱を客観的に比較するために2年ほど前に栃木県の産業技術センターで使わせてもらったところ(初心者だったためか実際には検体の調製と装填以外はやってくれました)、有機酸の量の差として現れました。コーヒーの比較試験の依頼はよく来るそうで、先味(さきあじ)として酸味・旨味・甘味・苦味雑味・渋味刺激、後味(あとあじ)として旨味コク・苦味・渋味の計9項目の測定結果が標準品との比較として得られます。 さらに、Qグレーダーと呼ばれる、コーヒーの品種に応じて専門的な資格を持つ個人が評価する仕組みもあり、国際的なQグレーダーは、日本に数百人しかいない貴重な人財だそうです。

コーヒーの香り成分

コーヒーの香りには、アロマとフレーバーがあり、アロマはコーヒーをいれたときに空気中に漂う香り、フレーバーは口の中にはいってから感じる香りと一般にいわれています。 コーヒーの香りは数百種類の揮発成分が複雑に組み合わさってできているといわれています。好ましい代表的な香りとして、イチゴ、柑橘系、チョコレート、バニラ、キャラメル、シナモン、煎った穀物、松、楠、ゴム、ブナ、花の香り、など。アフリカ産で、イチゴ風味やレモン風味のブラックコーヒーを試飲させてもらったことがあります。同じ挽き豆からでも、抽出の手順や条件によってどの風味が強く現れるかは変わるように感じられます。ネスカフェバリスタの機械の中の粉を溶かす部分には、2×3cmぐらいの網が使われていて、ここには花の香りが着いています。粉を溶かすときに粉から移るのだと思います。私が開発した浸漬抽出器を使って、スーパーで売られている中細挽きからふるい落とした細かい粉を抽出するときも(エグ味をほとんど除いてコーヒーをいれる方法(X))、ネスカフェバリスタの中の網と同じ花の香りが強く立ちのぼります。

クロロゲン酸ラクトン類がエグ味キラー成分か

少し専門的な話になりますが、2008年公開の特許第6381055号には、「抽出液濃縮物または乾燥物を200~250℃にて2~15分間加熱する。・・・クロロゲン酸ラクトン類の増加したコーヒー豆抽出物の製造」という記述と、「水分を乾燥状態近くまで低減させたコーヒー豆抽出物を乾燥させながら加熱した場合は、クロロゲン酸類のラクトン化反応が進行し、クロロゲン酸ラクトン類が著しく増加することを見出した。また、得られた処理物を、コーヒー飲料に添加することにより、舌に残る苦味ではなく、切れの良い、心地よい苦味が増加することを確認」という記述があります。この方法を応用して、インスタントコーヒーを200℃で溶融、冷やして再固化してみたところ(2023年3月)、エグ味を取り除くことができました(エグ味ができたインスタントコーヒー(粉)を焼いて復元する(B))。また、古くなってエグ味が出てしまったコーヒー豆を再焙煎してもエグ味除去の効果がありました(エグ味ができた挽き豆を煎り直して復元する(B))。ただし、インスタントコーヒーと挽き豆のどちらも風味はほとんどなくなってしまいました。なお、他人の特許技術を使って商品を製造販売するには、工業所有権実施許諾契約が必要です。

特許第6381055号にはさらに、「コーヒーにすっきりとした切れの良い苦味を確保するには、いれたてのコーヒーの上質な苦味成分であるクロロゲン酸ラクトンを増やすことが有効」と書かれています。浅煎り豆に多いとされる、劣化した豆のクロロゲン酸類を脱水(水素原子2個と酸素原子1個を排除)して、中煎り豆に多いとされるクロロゲン酸ラクトン類へ戻すことが、エグ味をなくす根本的な最新の解決策ではないかと今のところ私は考えています。 旦部幸博氏「コーヒーの科学」ブルーバックス 196ページにも、「ステイリング:焙煎時に生じたクロロゲン酸ラクトンやキナ酸ラクトンは水分子と反応すると容易に加水分解されてクロロゲン酸やキナ酸に戻り、pHが低下して酸っぱくなります。」と記載されています。コーヒーの酸味がエグ味(astringency)を引き起こしているともいわれています(2006年Coffee Fair –このサイトは2023年時点ではもう見つかりません)。

引用している特許を閲覧する方法

特許・実用新案番号照会/OPD|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp) へアクセスし(2023年6月現在)、

番号種別の列に「特許番号(B)・特許発明明細書・・・」を選択し

番号検索の列に特許第xxxxxxx号の7桁の番号を入れ

下の[照会]ボタンをクリックします。

ネット上で「特許第xxxxxxx号」を検索しても何らかのサイトがヒットして、閲覧できることがあります。

クロロゲン酸ラクトン類の濃度測定

2006年にドイツのミュンスター大学の研究によって、コーヒーの苦味成分といわれているカフェインを除いたコーヒーから、カフェインとは違う苦味の成分としてクロロゲン酸ラクトン類が発見されました。このことは特許第6381055号でも引用されているように関係者から注目されています。 次の記事の「エグ味をほとんど除いてコーヒーをいれる方法(X)」と「エグ味や苦味を半減させる装置の原型機(X)」の効果を裏付けるためには、エグ味が緩和されたコーヒーにはクロロゲン酸が減ってクロロゲン酸ラクトン類が増えていることを測定できればいいと考え、クロロゲン酸ラクトンとクロロゲン酸を比較するための定量分析(=濃度測定)ができないか試験センター数か所を当たってみたことがあります。結果として、クロロゲン酸ラクトンの標準物質がまだ市販されていないため標準物質(比較する元)を生成することから始めなければならず、クロロゲン酸ラクトン類は種類が多く、分析方法の開発にいくらかかるか見当もつかないのが事実ですと丁寧に説明してもらって、個人で依頼することはあきらめました。他の評価方法を採用するつもりです。

エグ味は少なくとも半減できるーー近未来編

応用範囲:コーヒー類、茶類

緑茶をおいしくいれる前処理(X)

緑茶の風味と味を豊かにする前処理方法があるにはあるのですが、このあとの「エグ味をほとんど除いてコーヒーをいれる方法(X)」に含まれるノウハウのため、ごめんなさい、まだ公表できません。早く特許を出願してあなたにお知らせしたいです。

エグ味をほとんど除いてレギュラーコーヒーをいれる方法(X)

たとえ未熟豆が入っていても、水分を十分飛ばさないまま焙煎が進んでいても、焙煎後に日が経って劣化していても(参考:エグ味の原因は収穫から飲むまでの5段階に潜む複合型)、中挽き、中細挽き、極細挽きの豆を、エグ味をほとんど出さずに抽出する器具と方法の画期的なノウハウをすでに保有しています(少なくとも本人は本気でそう思っています)。コーヒーを抽出し始めるときに、特別なひと手間をかけるのですが、このときにクロロゲン酸ラクトンがクロロゲン酸ラクトン類に変わると、今のところ考えています(旦部幸博氏「コーヒーの科学」ブルーバックス 196ページがヒント)。最後の一滴まで落とし切ってもエグ味が出ません。副次効果として、ロブスタ臭は芳醇なブナの香りに変ります。胃が痛いときに飲んでみましたが、痛みは強くなりませんでした。劣化によって現れたエグ味はほとんど消せますが、失われた風味は取り戻せないので、新鮮な豆にはかないません。エグ味を抽出しないためのこのひと手間は、インスタントコーヒーを溶かすときにも使えます。エスプレッソマシンには残念ながら原理上おそらく使えません。裏付け試験の結果が得られて特許を出願できたらノウハウを公開する予定です(有料になるかも)。なお、極細挽きやふるい落とした細かい粉の場合は、専用の前処理が必要なためドリップ(透過抽出)ではなく特別な浸漬抽出器が必須となります。最後の一滴まで落とし切っても、フィルターといっしょにコーヒーかすを絞ってもエグ味が出ません。中挽きや中細挽きよりも色が濃く出るので、ある意味では豆を無駄にしない抽出方法といえます。味わいや風味が濃くなるという印象はありません。特許出願できたら、抽出方法と装置の公開を予定しています。極細挽き用の使いやすい(作者の感想です)抽出器が手作りで1台完成しています。装填・圧縮(タンピング)の次の、「非開示」の手順で使う部品が精巧で複雑で、作りがいがありました。核分裂炉の制御棒になんとなく似ていますが、機能は単純です。3Dプリンターが使えると簡単に作れそうです。装填・圧縮(タンピング)の次の「非開示」の手順と基幹部品を省略した装置なら、さまざまな市販品をちょっと加工したり組み合わせたりして実現することができますが、エグ味を取り除く成功率が少し下がります。ちなみに、家族にも話していませんが、ふるい落とした細かい粉からエグ味を出さずに抽出する方法を研究している最中に、強力な下剤に使えそうなコーヒーができてしまいました。二度と飲みたくありません。 正直にいうと、1989年秋以降は電動のドリップを除いては自分でハンドドリップしてコーヒーを飲んだことがなく、改良を重ねた手作りの手動浸漬抽出器、または、電動のコーヒーメーカーにひと手間を加えて、エグ味をほぼ取り除いて飲んでいます。エグ味と同時に酸味も弱くなります。中・中細挽豆用のエグ味を出さない抽出方法は、市販されているしずく防止コック付きのドリップ(透過抽出)式コーヒーメーカーがあれば、ひとひねりすれば実現するので、早くあなたにひねり方をお知らせできるようにしたいです。ただし、本来の使い方ではないためメーカーの保証対象外になるはずなので、積極的なお勧めはできません。メーカーにとって想定外の使い方をしたことが原因で万一壊れた場合は、自己責任で対処していただく(自分で直すか修理に出すか買い替える)ことが前提です。

エグ味や苦味を半減させる装置の原型機(X)

応用範囲:コーヒー類、茶類、もしかしたらワインも

飲む直前にコーヒー類のエグ味を半減させる

エグ味のあるコーヒー類を、飲む直前に特殊な機械に入れてスイッチを入れると、2~3分でエグ味を少なくとも半減することができます。このときにも、クロロゲン酸ラクトンがクロロゲン酸ラクトン類に変わると、今のところ考えています。試作品は500mlのペットボトル2本ぐらいの大きさで、持ち運び可能。一度に270mlを処理できます。特許を出願できたら、このサイトで装置の作り方と使い方をあなたにお知らせしたいです。ある程度手先が器用で機械いじりが好きで、使用中の安全対策に自己責任を負える人なら市販品を組み合わせて自作できますよ。装置を自主開発した私も、ガソリンエンジンの分解組立ができるほど機械いじりが得意というわけではありません。原型機⇒実験機⇒実証機⇒実用機の研究開発段階でいうと、一般的には原型機に該当すると思っています。しかし、使い方次第で、私がすでに数年間使っているように実験段階と実証段階を飛び越えていきなり実用段階ということもないとはいえません。

飲む直前に緑茶の苦味を緩和する(X)

同じ装置と方法を使って、緑茶の苦味を緩和することができます。正直なところ苦味をとるだけならミルクフォーマーで泡立てた方が簡単なのですが、エグ味も消えるなどまだ見つかっていない何か他のメリットがあるかもしれません。

飲む直前にワインの味がよくなるかもしれない(?)

同じ装置と方法を使って、ワインの味もよくなるのではないかと期待しています。この装置は、お茶やコーヒーのポリフェノールに対して何らかの良い変化をもたらすと考えているので、ワインのポリフェノールにも何か起きるのではないかと気になっているのですが、ワインは普段飲まないので試していません。早く情報を公開して、ワイン愛好家に試していただけるようにしたいです。

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